日ざしはまだ強くても、風のなかにふと涼しさがまじる。夏から秋へ、季節は少しずつ移ろっていきます。
冷房の効いた室内と、外の暑さ。その行き来をくり返すうちに、身体が気温の変化についていけなくなる——そんな不調を感じやすいのが、ちょうど今ごろの時期です。
移り変わるこの季節を少しでも心地よく過ごし、日々の体調管理にも役立てられるように。今回は、暮らしのなかで頼りになるペパーミントのお話をしたいと思います。
暑い日の終わりに、ペパーミントリーフのお風呂を
汗ばむ一日の終わり。お風呂には入りたいけれど、湯上がりにまた汗をかくのは気が進まない——そんなふうに思う日があります。
そんな日におすすめしたいのが、ペパーミントリーフ(ペパーミントカット)を浮かべたお風呂です。
乾燥させたペパーミントリーフを、お茶パックや布袋に入れて浴槽へ。お湯に沈めると、爽やかな香りがやわらかく立ちのぼり、湯気とともにゆっくり広がっていきます。
精油ほど強くはありませんが、その穏やかさこそがリーフの魅力です。香りに包まれながら、肩の力がほどけていくような心地よさがあります。
面白いのは、湯上がりのひととき
ペパーミントには、メントールという成分が含まれています。
メントールは、私たちが「冷たい」と感じる感覚に働きかける成分です。そのため、ペパーミントに触れたあとに風が当たると、ひんやりとした感覚がいっそう際立ちます。
湯上がりに扇風機やエアコンの風を受けると、肌がすっと冷えて、驚くほど爽快に感じられることも。暑さの名残る夏の終わりには、なんとも気持ちのよい入り方です。
ペパーミント精油は、たった一滴でも
私自身、ペパーミント精油(ペパーミントオイル)をお風呂で試したことがあります。
浴槽にほんの一滴。それだけで、湯気とともにペパーミントの香りがはっきりと立ちのぼりました。「精油とは、これほど凝縮されたものなのか」と、そのとき実感したのを覚えています。
ペパーミント精油は、とても力の強い精油です。たくさん入れればよいというものではなく、一滴で十分にその香りを味わえるほど。
なお、精油は水に溶けません。浴槽に使う場合は、一滴程度のごく少量から試し、一か所にまとまらないようにお湯をよくかき混ぜてください。ただし、かき混ぜても完全に溶けきるわけではありません。肌に刺激を感じたときは、すぐに使用を中止してください。とくに敏感肌の方やご高齢の方は、無理に精油を使わず、ペパーミントリーフでの入浴のほうが穏やかに楽しんでいただけます。
お庭がある方は、育てて使う楽しみを
ペパーミントは多年草です。
乾きすぎない場所を好み、半日陰でものびのびと育ちます。環境が合えば横へ横へと広がり、葉にそっと触れるだけでも、爽やかな香りが立ちのぼります。
夏から秋にかけて、必要な分だけ摘み取って、お風呂やハーブティーに。育てる楽しみと使う楽しみ、その両方を味わえるのも魅力です。
ただし、とても旺盛に広がる植物なので、増えすぎるのが心配なときは鉢植えにしておくと管理がしやすくなります。
香りの力を、暮らしのなかに
ペパーミント精油は、葉よりも香りの成分がぐっと凝縮されています。
その強い香りを生かして、ネズミやゴキブリ、アリなどを寄せつけにくくする目的で使われることもあります。
ペパーミントは、ただ「涼しい香り」というだけの葉ではありません。お風呂に、ハーブティーに、香りを楽しむひとときに。そして、夏から秋へと移ろう季節の暮らしのなかに。
玄関先に、ペパーミントを
ペパーミントの爽やかな香りは、蚊が好まない香りのひとつとしても知られています。とりわけ香り成分を濃縮したペパーミント精油については、蚊を遠ざける作用を調べた研究もあります。
お庭や玄関先でペパーミントを育てれば、葉にそっと触れるたびに爽やかな香りが広がります。夏の玄関に置いて、香りを楽しみながら過ごすハーブとしても頼りになる存在です。
身近な一枚の葉から、香りを凝縮した一滴の精油まで。ペパーミントは、夏の終わりから秋へ向かうこの季節を、少しだけ心地よくしてくれる、頼もしいハーブです。


